M4A4 Howlを取り巻く著作権問題

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CS2のスキンは、Counter-Strikeの文化の一部となっています。スキンを買うことが勝利に繋がることはありませんが、スキンの有り無しではモチベーションが変わってきます。しかしそんなスキンは時には論争を呼ぶこともあり、今回取り上げる「Howl」というスキンはCSの歴史において最大の騒動と言えます。

スキンの始まり

元々はTeam Fortressから始まった…


2011年、ValveはSteam Workshopを開設し、コミュニティからデザイナーやアーティストを募ってデザインを提出させ、他のプレイヤーがそれを使用したり投票したりできるようにしました。

投票の結果、Valveは当時人気があったTeam Fortress 2のアップデートにスキンを正式に実装していました。

それから2年が経ち、Steam WorkshopをDota 2やSkyrimといった他のゲームにも導入し、「プレイヤーがデザインし、プレイヤーが購入する」という画期的なシステムを確立しました。そしてCS:GOにもそのシステムは導入され、プレイヤーは新しいマップやゲームモードをデザインし、共有することができるようになりました。

当時、Counter-Strikeのコミュニティはまだ分裂しており、多くのプレイヤーはSourceとCounter-Strike 1.6をプレイしていましたが、ValveはArms Deal Updateをリリースし、プレイヤーが武器のスキンを購入・取引できるようになり、プレイヤーは一本化し、増加。CS:GOは世界有数のESportsタイトルへと変貌を遂げました。

2014年、スキンの市場は爆発的な盛り上がりを見せ、プレイヤーは希少なナイフやレアスキンを数百ドルで取引することが日常茶飯事となりました。一方スキンのデザイナーは売り上げの一部を獲得できるということもあり、デザイナーという立場でも盛り上がりを見せていました。

Howlが生まれたとき


2014年3月30日、Auzzii氏とsic氏によって「Howling Dawn」というタイトルでスキンとステッカーがワークショップにアップロードされました。これらのスキンは瞬く間に受け入れられ、4,500以上のポジティブ評価を獲得。

Auzzii氏は「かっこいいイラストを作りたかったので、これを作りました。私の愛犬の写真からインスパイアされました」とコメントしています。

その1ヶ月後、このスキンとステッカーはHuntsmanコレクションの一部として「M4A4 Howl」としてCS:GOに正式に追加されました。

これらのコレクションはゲームをプレイすることでドロップするHuntsman Caseを獲得し、キーを購入してケースを開けることで、中に入っているスキンの一つを獲得することができました。

Howlはもっともレア度の高いスキンとして登場しました。

著作権違反が判明

2014年6月、芸術家などのコミュニティサイトのDeviantartに登録していたCanisAlbus氏が、自信の作品を盗作されていることに気が付きました。

CanisAlbus氏が描いた作品


CanisAlbus氏は自身のブログで、「誰かが私の作品を盗んで、Counter-Strikeというゲームの銃のスキンを作ったようだ。この作品をデザインしたのは私だが、マーケットにアイテムをアップロードしたのは私ではないし、私の許可を得ていない」と説明。

これらのデザインの著作権侵害を報告し、アイテムがすぐに削除されることを望んでいると声明を発表しました。

数日後、ValveはCanisAlbus氏のアートワークの無断使用に関するDMCA侵害通知を受け取ったと発表。


CS:GOのワークショップを立ち上げたとき、私たちのゴールはアーティストにクリエイティブなアイデアを共有する場を提供することでした。設計上、Workshopはアーティストが作品を提出するためにValveのレビューや承認は必要ありません。しかしながら、Valveはデザイナーが作品をアップロードする前に法的な同意書に署名することを要求しています。

その後、M4A4 Howl、Howling Dawnのステッカー、そして他のHuntsmanコレクションのスキンは、プレイヤーのインベントリに残るものの、武器ケースからこれ以上の配給を停止しました。

そして、HowlとステッカーどちらもValveによってオリジナリティを残しつつもCanisAlbusの著作権を侵害しないようデザインの修正を加えました。

コントラバンドというレアリティ

Howlの配給停止をしたことにより、現在出回っている量しか存在しないことになりました。ValveはSic氏とAuzzie氏の不正行為を受け入れ、HowlにContraband(密輸品)というレアリティを付与し、一連の騒動に決着をつけました。現在のところ、Counter-Strikeでこのレア度を持つアイテムは他にありません

スキンの購入が不可能になったことで、残りの在庫は貴重なアイテムとなりました。

Steamのコミュニティマーケットには価格制限があり、Howlは外部サイトでしか購入することができない非常にレアなスキンとなりました。

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